絵本を出版する方法
自作の絵本を出版するにはいくつかの方法があります。多くの方が思い浮かべるのは、出版社がすべて費用を負担してくれて出版するスタイルでしょう。
これは商業出版、企画出版などと呼ばれています。この他にも、作り手も半分費用を用意するというスタイルがあり、これは協同出版と呼ばれています。そして、全額自己負担で出版するのは自費出版といいます。
それぞれの出版の種類について
商業出版(企画出版)となると、出版したものをたくさんの人が購入してくれなければ出版社は赤字になってしまいます。そのため、作家のこれまでの実績をもとに依頼されるとか、特定の作品が出版社に売れ筋だと認められることが必要です。「これなら売れる」と思ってもらえるような作品であれば、出版社の方から本を出してみないかと依頼されることがあるわけです。
しかし、容易に想像できるように、これは非常にハードルが高い方法です。また、絵本に限らず本には出版権というものがありますが、商業出版となるとこの権利は出版社が持つことになるので、内容を自分好みにすることが難しくなってしまいます。テーマやストーリーなどが企画の中で厳しく管理されているので、出来上がってみたら自分の想いとは少し違うものであった、などということが起きかねないのです。それから、印税に関していうと、商業出版は自費出版とほとんど変わらず、10%以下が相場ともいわれています。
二つ目の共同出版は、費用の半分を作家が負担する必要があるわけですが、やはり商業出版の価値はないとみなされた作品ということになります。自費出版に比べればハードルはかなり低くなるものの、場合によっては負担割合が高くなったりと出版社の対応に違いが出ることもあります。また、共同出版は過去に契約のトラブルなどが発生した例がいくつかあるので、事前に十分な確認が必要といえるでしょう。
そして自費出版ですが、費用が100%自己負担となるため当然ながら自由度は高くなります。テーマやストーリーだけではなく、本の装丁などすみずみにまで自分のこだわりを詰め込むことができるのは、自費出版ならではの魅力といって良いでしょう。知名度がなくても、受賞経歴のない作品であっても、自費出版なら誰でもチャレンジすることが可能です。そのため、今はともかく経験を積みたいという人にもぴったりでしょう。また、他の出版方法と同じように書店などに流通させる他、私家版といって、個人的なプレゼントに使いたいなどさまざまな用途に使うことができます。
さらに、書店への流通も可能な出版社を利用した場合、私家版のみにしか対応していないところから出すよりもはるかに良い出来栄えになることがあります。私家版のみのところより出版社のデザイン機能などが充実している場合が多いので、その分、高いクオリティーが期待できるのです。それから、前述したように自費出版でも印税は支払われ、もしも重版ということになると、かかる費用は100%出版社が負担してくれるのでかなりの待遇になるといえます。
街中の書店が姿を消し続けている昨今の背景には、本の売り上げ激減という事実があります。また、書店がなくなれば本を並べることもできず、初回の印刷部数(初版)も右肩下がりになるといわれています。そんな厳しい状況の中で生き残りをかける出版業界は、自費出版が当たり前という時代がくるともいわれています。もしもできるだけ費用はかけずに出版したいと思っている方は、少しでも早く行動にうつすようにしましょう。
出版企画書を見てもらおう
絵本を出版したいと思ったら、ラフを持ち込むだけでは十分ではないかもしれません。出版社に出版企画書を持ち込むのも方法の一つです。出版企画書というのは業界の商習慣で、これに基づいて本のテーマや内容が決まって世の中に出るということになります。世の中に出すだけの商業的な価値のある本の企画書類といって良いでしょう。
そんな出版企画書は、読んだ編集者が「是非会ってみたい」と思ってもらえるような内容を盛り込むことがポイントです。すべてが企画書通りという本になることは稀ですが、会いたいと思ってもらえれば話は進んでいくものです。「おもしろいことを考える人だな」などと思ってもらえればしめたものです。会った時にはアイディアをどんどん聞かせてもらい、さらに良い企画を練りたいと編集者は考えています。
つまり、企画書は単なるきっかけに過ぎず、会ってはじめて企画を考えていこうというわけです。そのため、企画書とともに原稿を書き始める必要はほとんどありませんし、逆にそのようなものはない方がうまくいくことすらあるほどです。それどころか押し付けるような感じになって、マイナスに受け取られることもあるでしょう。編集者は自分のアイディアを入れた本を出したいと考えるものなので、原稿があってもその通りのものなど本になることはありません。
出版企画書に書くべき内容
出版企画書には、仮のタイトルや企画の概要、目次案などを記載します。概要は自分が世の中の人々に伝えたいとするメッセージを要約したものです。
また、読めばこんな風になるので、この本は世の中に必要なのだ、というような内容も盛り込んでも良いかもしれません。
基本的には、自作絵本の持ち込みを受け付けている出版社は少ないですが、あきらめずに探してみてください。
順番に、確実に、あきらめず進めていきましょう!
目次案はあった方がコンテンツの内容を伝えやすくなります。概要よりもさらに詳しく、順番に伝えたいことを並べていけば良いのです。この他にも、自分の実績や経歴などのプロフィールを入れます。自分は今までにこんなことをしてきたとか、絵本の作成に込めた自分の想いを入れましょう。絵本への熱い想いを書き、自分に是非書かせてくださいという熱意をアピールするのです。
自作絵本の企画書について
出版企画書もラフなどと同じように編集者に見てもらうことからはじまります。この時、本を出したいがために、編集者なら誰でもよいから見てもらおう、と考えるのはいけません。その編集者が自分の描きたい絵本を扱っているかどうかがポイントとなります。
もちろん、出版社自体が絵本を扱っていなければ話になりません。絵本をたくさん出版している出版社を厳選し、文字通り絵本出版を手掛けている編集者さんに見てもらうようにしましょう。
絵本出版のあれこれ
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