絵本を出版したい人が知っておくべき4つの出版方法

絵本を出版したいなら知っておくべき

「自分で創った絵本を出版したい」と思う人は多いですが、実際に出版する方法を具体的に知っているという人ばかりではないでしょう。絵本を出版するにはどのような方法があるのか、いくつかの代表的な方法について知っておくことをおすすめします。

・持ち込み
・自費出版
・クラウドファンディング
・自己出版

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最も一般的な「出版社持ち込み」と「自費出版」

自作の絵本を出版しようと考えた場合、まず思いつく手法と言えば「出版社持ち込み」か「自費出版」でしょう。

絵本の企画や原稿を出版社に持ち込むのは、最もハードルの高い方法です。その出版社がたまたま新刊を企画しているタイミングに当たっているとか、よほど目を引く企画や原稿があるなら別ですが、通常は厳しい選別を受けることになります。すでに絵本作家として活動しているプロや、自分と同じく絵本の出版を志している数多くのライバルの中で、編集者の目を引くことのできるクオリティの高い企画や原稿を用意できることが求められます。近年、出版社の多くが不況状態にあることも、新人のデビューを困難にしている原因となっています。

そのような状況下でも出版社からプロとしてデビューできる可能性が高くなる方法として、近年注目されているのが「SNSで人気を獲得する」ことです。ここ数年、TwitterなどのSNSに、マンガ等自分の作品を掲載して、それが評判となり、プロとして商業デビューするケースが増えています。これは、出版社にとってはあらかじめ人気が確立している作家の作品を商業出版することで、出版にかかるリスクを軽減することができるからです。直接出版社に持ち込みをするよりも、まずはTwitterやInstagramで自作品の拡散を狙うのもありでしょう。

商業作家以外の人が自作品を出版したい場合、最も古典的と言える手法に「自費出版」(共同出版)があります。一般的に「自費出版」は出版にかかる費用を全額著者が負担し、「共同出版」は出版社と著者が出版費用を折半するものです。ただし、出版した絵本を一般的な書店で取り扱ってもらうためには、「取次」(問屋)に取り扱ってもらう必要があり、そのためには最低でも3000部以上の出版が必要です。当然、出版費用も数十万円~100万円程度かかることになります。

特に「共同出版」の場合、出版社がもとから出版した書籍を販売することではなく、共同出版のための費用を得ることで稼ぐことを主眼としているケースもあり、共同出版を行った著者との間にトラブルが発生していることも少なくありませんので、注意が必要です。

近年増えている「クラウドファンディング」

自己資金だけでは出版が難しい場合、近年よく利用されるようになってきた手法が「クラウドファンディング」を利用して出版のための資金を調達するという方法です。

「クラウドファンディング(Crowdfunding)」は、インターネットのサイトを利用し、自分の売りたい物ややりたい企画などを発表して、それに賛同してくれる人から資金を調達するという仕組みです。2000年代後半にアメリカで盛んになりましたが、日本では東日本大震災がクラウドファンディング普及のひとつの契機となりました。支援した金の用途が透明であることや誰でも少額から支援できるなど、その特性が、災害復興に必要な資金を集めるために大いに活用されました。

クラウドファンディングを利用して資金調達することのメリットは、あらかじめ出版社に持ち込むために作成した企画書や原稿を利用し、その作品に共感する人や読者を出版前から集めることが可能であることで、かつ資金が手元にある状態で本づくりができるという点にあります。通常の自費出版では、本屋で取り扱ってもらうために3000部以上印刷した結果、大幅に在庫が手元に残るという危険性がありますが、クラウドファンディングを利用すれば、資金調達できるばかりでなく、確実にはける部数を最初から把握できているので、余計な在庫を抱えるリスクを減らすことができます。

最も低コストな方法は「自己出版(セルフパブリッシング)」

資金を掛けずに最も低コストで出版する方法が「自己出版(セルフパブリッシング)」です。これは、自分で出版原稿のデータを作成して入稿するという手法です。

ただし、セルフパブリッシングに対応している既存のサービスを利用しようとする場合、現状では「本の(印刷面の)クオリティ」もしくは「販路」のいずれかをあきらめる必要が生じます。

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ただ出版するだけなら4980円でOK!

出版する絵本の印刷や紙などのクオリティを優先する場合は、絵本の印刷を引き受けてくれる印刷会社にデータを持ち込むのが良いでしょう。専門の印刷会社に直接データを持ち込むのですから、印刷のクオリティの高さは問題ないでしょう。しかし、この場合は絵本の販路を自分で確保しなければならないため、全国展開など、広く出版した本を本屋においてもらって販売することは難しくなります。販売する範囲を限定し、イベントなどで出版物を販売する場合に適している方法です。

「販路」を優先したい場合は、Amazonのサービス「MyISBN」をお薦めします。「MyISBN」であれば、4980円で1タイトルの出版が可能です。出版する方法も難しくはなく、ウェブサービスに作成したPDFデータのファイルをアップロードするだけでOKです。

オンデマンド出版も選択肢のひとつに

オンデマンド出版では、実際の本の作成は「オンデマンド印刷」を利用した完全受注生産で行われるため、用紙や印刷機は標準でそろえられたものを利用することになり、選択することはできません。また、もともと文字を中心とした小説やエッセーなどを出版することを想定して最適化されているサービスであるため、厚紙を使用するとか、横長等非定型の絵本は作成できません。写真集レベルの高品質な印刷も難しいです。それでも、PDFファイルによる入稿だけでAmazonに掲載されることを考えれば、最も手軽に絵本を出版する手法と言うことができるでしょう。

ひと昔前であれば、絵本を出版したいと考えるなら、出版社に持ち込みをするか、自己資金による自費出版しか方法はありませんでしたが、ネットの普及によって、クラウドファンディングのような新しい形の資金調達方法や、SNSなどで前評判を作る、セルフパブリッシングを利用して出版費用を低コストに抑えるなど、選択肢の幅が広がっていることは間違いありません。自分に合った出版方法を選択しましょう。

どのような絵本に仕上げたいですか?

ただ絵本を出版するというだけなら費用は格安で可能ですが、その内容を第三者がチェックして、よりクオリティの高い絵本にしなくても良いのでしょうか?

著者(絵本作家)が一番考えるべきは、それを読むであろう「読者(ユーザー)」の気持ちであるべきで、しっかりと『心を動かせる作品』にしあげてください。それを一人で完成させることができるかどうか、出版社(編集者)のアドバイスやサポートを受けながら、本気で絵本をつくることをおすすめします。

また在庫のやまに埋もれないような出版方法を選ぶことは、地球にも優しいですし、自分の精神的な負担も減らすことが出来ます。ぜひ自分に合った出版方法を選んでいくことで、満足度の高い絵本をつくりあげていただきたいと思います。

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