絵本を出版したい人が覚えておきたい!ストーリーの作り方の基本

基本をおさえたストーリー作り

自作の絵本を出版したいと考える人は多いですが、中にはどうやって絵本を描けばいいかわからない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

絵本の場合、特に頭を悩ませるのが「ストーリーの作り方」でしょう。イラストは描けてもストーリーの書き方が分からない、というケースは少なくありません。

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コツをつかめばスムーズな進行が可能

ストーリーの作り方にはいくつかのコツがあります。それを覚えることで、よりスムーズにストーリーを組み立てることができるようになるでしょう。ストーリーの作り方の基本を学んでみましょう。

「ストーリーのラスト」を先に考える

ストーリーを作るための最も基本的なコツは、「ストーリーの出だし」を考えたら、次に「ストーリーのラスト」を考えておくということです。多くの人は、絵本に限らず、ストーリーを創作しようとした場合に最初の場面から書き始め、そこから時系列順に書き進めていこうとします。しかし、ストーリーの出だしは決められても、そこから結末まで順を追って書いていこうとすると、ストーリーの方向性を見失いがちです。ストーリーがどこからどこへ向かって進んでいくのか、それが見えていないために、次の場面で何を書けばいいのか分からなくなってしまうわけです。

「桃太郎」の話にたとえるなら、「おばあさんが川で大きな桃を拾う」が「ストーリーの出だし」になります。「桃太郎」のお話を知らない人はまずいないと思いますから、ほとんどの人は、この「おばあさんが大きな桃を拾う」というシーンを聞けば、「桃太郎が鬼ヶ島で鬼を成敗する」という「ストーリーのラスト」を思い浮かべることができるでしょう。しかし、もしあなたが「桃太郎」というお話を知らなければ、「おばあさんが大きな桃を拾う」という場面から始まるストーリーがどのような展開になり、どのようなラストを迎えるか、想像できるでしょうか?

「桃太郎」のストーリーの目的は、実は「桃太郎が鬼ヶ島で鬼退治をする」というラストにあると言っても過言ではありません。重要なのは、この「ラストシーン」を描くためにストーリーをどのように組み立てるか、ということになるわけです。言い換えるなら、「おばあさんが大きな桃を拾う」という「始点」と、「桃太郎が鬼退治をする」という「終点」、この2つのポイントを先に設定しておけば、あとはその間をどのようにつないでいくか、ということになります。先にゴールが設定されることになりますから、どこを目指して進んでいけばいいか、分かりやすくなります。

ストーリーの設計図=プロットを作ってみる

「ストーリーの起点」(始点)と「ストーリーのラスト」(終点)が決まったら、次に用意したいのが「プロット」です。このような専門用語も一緒に覚えておくと、実際の出版を考える際の打ち合わせなどでも、先方の言っている意味が理解できるようになるでしょう。最低限の知識を持っておけば、より質の良い打ち合わせができるので、必然的に作品のクオリティにも影響します。もし専門用語が『苦手』と思っている人でも、本気で出版を考えるなら頑張って覚えてください。

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プロットの重要性について

「プロット」とは小説や映画のシナリオ制作に良く用いられる用語ですが、簡単に説明するなら「ストーリーの筋書き」や「枠組み」、あるいは「ストーリーの構成」といった意味になります。言い換えるなら、プロットとはそのストーリー全体の設計図ということになります。始点と終点をつなぐストーリーを構成する作業であると言えるでしょう。

プロットを作ることには、実際にストーリーを書いていく際に迷わなくなるとか、何を書いて良いか分からず手が止まってしまうことが起こりにくくなるという利点があります。また、すでにどのようなストーリーを組み立てるのか決まっているので、結果として、一つの作品を完成させるためにかかる時間を短縮する効果もあります。

プロットを作ることで、無駄なシーンや場面を省いたり、ストーリーの流れに矛盾が生じたりすることを避ける効果を得ることもできます。一見、先にプロットを考えた上で実際のストーリーを構築するというのは二度手間のように思われるかもしれませんが、実際にはプロットを用意することで、ストーリーの無駄や不整合を省いて、よりクオリティの高い作品に仕上げることができるようになるのです。

特に、自作の絵本を出版したいと考えているのであれば、完成した絵本のクオリティは重要な問題となります。そのためにも、絵本のストーリーを作るにあたっては、まずその概要となるプロットを作るところから始めてみることをおすすめします。

ストーリーの「ひな型」を利用する(「起承転結」で考える)

ストーリーの組み立て方にはいろいろな手法がありますが、実は古典文学から現在のコミックに至るまで、多くのストーリー作品の制作に用いられていのが、ストーリーの「ひな型」、言い換えるならストーリーのテンプレートを利用するという方法です。この「ひな型」にも数多くの種類がありますが、ここでは最も一般的な「起承転結」で説明します。

「起承転結」という言葉は、誰でも一度は耳にしたことがあると思います。もともとは漢詩の構成を指す言葉でしたが、そこから転じて、ストーリー構成のひな型として用いられる用語になっています。

「起承転結」の「起」は、ストーリーの背景や事前に読者に伝えるべき情報を書く場面です。前述の「桃太郎」の物語に沿って言えば、「昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました」が「起」に該当します。

「承」はストーリーの導入部分を指し、これも「桃太郎」に沿って言えば、「おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川に洗濯をしにいきました」の部分が該当します。

「転」はストーリーが大きく展開する部分です。「桃太郎」でたとえるなら、成長した桃太郎が鬼退治を目指し、鬼ヶ島へ向かう場面が相当するでしょう。

「結」はストーリーのラスト、「桃太郎が鬼ヶ島で鬼退治」をする場面となります。前述の通り、ストーリーの構成を考える場合、まず「起」を考え、次に「結」を考えましょう。その後、「承」と「転」の部分を構成していきます。「承」と「転」については、必要に応じて「承1」「承2」、あるいは「転1」「転2」といったように、大きな枠組みの中で構成を分けて描くこともあります。

ここで紹介した方法は、あくまで絵本のストーリーを作る場合の基本的な考え方です。これを基に、実際に絵本を描き、経験を積むことで、よりクオリティの高い絵本を描けるようになるでしょう。

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