絵本を出版したい人が読んでおきたい参考書

絵本の質を高めるための事前準備

自作の絵本を出版したいと思っても、初心者の方にとってはハードルが高いものです。基本的には絵本教室などに通い、講師から自作の講評を貰いながら制作のノウハウを学習することが基本です。

しかし、仕事などの都合でなかなか定期的に教室に通うことが難しい、という場合もあるでしょう。その場合、頼りになるのが各種の絵本を描くための参考書籍です。

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物語が思いつかない時に読みたい参考書

絵は描けても物語が書けない、とお悩みの場合は、童話や児童文学のノウハウについて解説されている本が非常に参考になります。

「上手に童話を書くための本」(著:西本鶏介)は、絵本や童話を自分で創りたいと思っても、なかなか専門学校やカルチャー教室などに通うことができない人、講座に通えても思うような作品が書けない人のために、どうしたら上手く書けるようになるか、具体的な作品例を示しながら解説してくれる本です。
どういう作品がより子どもの心をつかむのか、そのための素材やテーマの選び方から始まり、表現の方法に至るまで、わかりやすく解説されています。基本的には童話に関する解説になりますが、どのように物語を発想すればいいか、どう展開させればいいか、分かりやすく解説されているので、絵本を出版したいと思っている人にとっても参考になる本です。

「児童文学の書き方」(著:横山充男)は、児童文学を「憧憬を物語る文学」「ここではない、はるか彼方の世界への憧憬を抱いて、遠くへと旅していくこと」と定義づけし、児童文学の創作を行うにあたっての着想や手法などを解説している本です。
児童書を初めて書こうと思った時にまず気を付けないといけないことや物語の創作方法を実例を挙げて解説しているので、絵本の創作手順を学ぶためにも非常に参考になる本です。

「絵本と童話の作り方」(著:なかえよしを/イラスト:上野紀子)は他人には見えない想像の世界を、絵本や童話という「見える形」として表現するための方法を教えてくれます。最もシンプルな物語の発送方法をアドバイスしてくれるので、絵本創作の初心者の方向けの参考書です。

「絵本作りトレーニング」(著:長谷川集平)は「絵本というメディアを遊びつくす」というコンセプトで、自身も絵本創作者でもある著者がそのノウハウを伝授してくれる本です。硬い考え方を解きほぐして、日常を明るくする絵本的発想ができるようになります。
まさに物語を発想するためのトレーニング本と言え、この本に書かれているトレーニングをすべて終了すれば、柔軟な思考力で自由な創作が可能になります。初心者だけでなく、中級者にもおすすめの参考書です。

絵本の作り方が分からない時に読みたい参考書

実際に絵本を製作する方法やデジタルを応用する方法などを知りたい場合は、以下に紹介する書籍が参考になります。

「楽しい絵本のつくりかた:絵本作りの基本 アイデアがたっぷり!」(監修:千葉幹夫)は、絵本を初めて作る人にもわかりやすく制作方法を解説してくれる、初心者向けの参考書です。具体的なストーリーの発想の仕方等は基本的な部分のみの解説に留め、創作プロセス(ストーリーボードの組み方や下絵・原画の描き方等)に重点を置いて、詳しく解説してくれます。絵本の作り方の基礎を押さえながら、特に初心者が悩むことの多いページ配分や物語の盛り上げ方などについての詳しい解説もあります。

「絵本つくりかた (プロの現場から学ぶ!)」(著:つるみゆき)は、デジタル時代の絵本制作手法を解説した本です。基礎的な絵本の制作工程の説明から、デジタル版下の作成、iPhoneを利用したメモの取り方やアイデアの集め方といった、デジタルを活用した絵本制作にチャレンジしたい人向けの参考書です。デジタルが苦手なアナログ世代の人にも分かりやすく、絵本の制作を解説しています。

「本はこうしてつくられる」(著:アリキ ブランデンバーグ/訳:松岡享子)は、絵本作家のねこさんを主人公に、物語形式で創作絵本を完成させるまでの過程を解説している本です。現代よりも少し古い時代における書籍の印刷工程や、絵本の出版に関わるすべての人のことについても書かれているので、絵本の出版が作家一人の独力で行われるものではないことを理解することができます。子ども向けの読み物としても楽しめる本です。

「MOE絵本教室―絵本作家におそわる描き方 」(MOE BOOKS)は、実際に創作活動をしている絵本作家が使用している画材別に、それぞれの作成テクニックを解説している本です。絵本作家になることを目指している人に対するメッセージもあります。絵本の作画に悩んでいる人には特にお薦めです。

他にも読んでおきたい参考書

絵本の作成に必要な知識は、作画やストーリーの制作の仕方だけではありません。上記した以外にも、絵本を出版したいと考えている人に参考になりそうな書籍を紹介します。イラストや文章はターゲットに合わせる必要があります。

そのターゲットは、より明確であればあるほど、絵本全体がまとまっていきます。赤ちゃん、幼稚園、小学生という曖昧な感じではなく、0~2歳、4~5歳、小学1年生など「自分なりに」固めておいた方が良いです。

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絵本の参考書プラス1

「絵本のしくみを考える」(著:藤本朝巳)は、よりわくわくする絵本の展開を考えたい場合にぜひ読んでおきたい参考書です。絵と文章の関わり方や、絵の構図、ストーリーの展開方法といった絵本作成の技能について、実際の絵本の本文写真を用いて分かりやすく解説してくれます。単にイラストに文章を付けただけではなく、主人公の行動や物語の展開に合わせた効果的な構図や効果的な言葉の使い方など、よりクオリティの高い絵本を作りたい人向けの本です。

「絵本をよむこと―絵本学入門」(編・著:香曽我部秀幸・鈴木穂波)は、日本だけでなく、海外の作品を含め、読んでおきたい絵本を幅広く紹介している本です。絵本を作りたいなら、絵本を描くことばかりでなく、世界中の名作絵本を読んでおくことも大切です。絵本の読み方についても丁寧な解説があり、絵本を理解するためにとても役に立つ書籍です。

著者が有するスキルや欲求

予算に直接関わってくる他の要素としては、自分自身でイラストを描けるか、または絵本の文章やストーリーテリングなどの構成を行えるかといった、絵本を作成するために必須である著者本人のスキルと知識を挙げられます。

当然ですが、最も費用を抑えられるのは、全ての作業を自己完結できる場合です。しかし、自分で画を描けないのであれば、デザイナーや既に活躍している絵本作家、または挿絵を専門とするイラストレーターなどに外注する必要性が生じます。絵本を出版したいのに絵が描けないことに疑問を感じるかもしれませんが、アイデアはあっても画を描くことが得意ではないという人が多くても不思議ではありません。

天は二物を与えずとも言いますが、文章は書けるけどイラストは苦手、またはその反対というケースに当てはまる人の方が多い方が自然でしょう。そうした場合の外注費用は、絵本を出版する際の大きな出費であろうことは容易に想像がつきます。ただし、もしそうであったとしても、その外注費用を安く抑える工夫は可能です。

コロナ禍にあって、正社員にも副業が広く認められるようになった変遷も有利に働き、近年では専業または副業として活動するフリーランスのイラストレーターは大幅に増加しました。そのような状況は、つまりは競合が激しくなったということでもあり、他者との差別化のために格安で依頼を受けるフリーランサーも増えたということです。依頼する前に、それぞれのポートフォリオなども容易に参照が可能ですので、作風を吟味した上で予算とも相談し、複数の候補の中から選択しましょう。

さいごに

以上、絵本制作に役立つ参考書を紹介しましたが、絵本制作の上達に一番大切なことは、自分で制作を実践することです。参考書を読むだけでなく、それを参考にしながら、自分の作品作りにチャレンジしましょう。最初は難しくても、作り続けるうちに、よりクオリティの高い絵本を作れるようになります。それが絵本を出版したい人にとっては最短コースとも言えるでしょう。

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