絵本作家になる道は険しい?
プロの絵本作家になるのは決して簡単なことではありません。なりたいと思っている人は世の中にたくさんいますし、一昔前と違ってなかなか門戸を広げてくれる出版社は多くないからです。
出版社のホームページを見てみるとわかりますが、たいていの出版社は「持ち込みは受付けていない」とはっきり記載されています。しかし、そんな中でももちろん絵本作家としてデビューした方はいます。そして、そのような方々がどのような道を辿ったのかといえば、やはり地道に持ち込みを続けていたというケースが少なくありません。
あきらめず行動していくことが大切
出版社に自分の作品を持ち込むのは、直接出向いて手渡す他、郵送したりネットでデータを送ったりといくつかの方法があります。直接出向くといっても、編集者に手渡しできるチャンスはほとんどないでしょう。受付けをしてくれた人に手渡して、何とか編集者に見てもらえないかと訴えることくらいしかできないものです。
しかも、そのような原稿は出版社に山のように届くようで、編集者はおろかバイトですら一つひとつ目を通すなどという余裕はないようです。絵本作家を目指している人にとっては、できれば作品を見てもらって、とても出版できるようなレベルではないという判断になったとしても、次の作品のためには何でも良いからアドバイスが欲しいと思うものです。しかし、そのアドバイスすらなかなかもらえないというのが現状なのです。
とはいえ、見てもらえる可能性は決してゼロではありませんので、まずは顔を覚えてもらっていつしか目を通してもらえる可能性に賭けてみるということになります。そして、この繰り返しが絵本作家としての腕を磨くことにもつながります。因みにプロの絵本作家になった後も、向こうからどんどん出版依頼が来るとは限りません。プロになってからでも、自分の作品を売り込んで出版にこぎつけるという絶え間ない努力が必要となります。
持ち込み以外に方法はある?
絵本作家になるにはコンテストに応募するというのも方法の一つです。認められて何かしら受賞することで道が拓けることもありますし、場合によってはそのまま出版という運びになることだってあり得ます。絵本コンテストは出版社の他、各団体や企業などが企画するもので、その数は意外とたくさんあります。
持ち込み可能な出版社を探すよりもずっとハードルは低いといっても良いでしょう。出版社などは特に、人々の心を掴む魅力的な作品を生み出してくれる将来のプロフェッショナルを見つけ出し、業界に大きく貢献してくれることを熱望しています。
有名なところでいえば、絵本の月刊誌「MOE(モエ)」の主催によるコンテスト「MOE創作絵本グランプリ」があります。グランプリに選ばれるとMOE誌面に作品が掲載され、賞金50万円をもらうこともできます。また、準グランプリには賞金10万円、佳作にも賞金3万円が授与されます。
出版社主催のコンテストとしては、この他にも「講談社絵本新人賞」や、文芸社主催による「えほん大賞」、童心社による「絵本テキスト大賞」などがあります。それから団体や企業が主催するものには、日産による「童話と絵本のグランプリ」やタリーズコーヒーによる「タリーズピクチャーブックアワード」などが挙げられるでしょう。他にも、市町村が主催するコンテストというのもあり、受賞すると市町村図書館などのギャラリーで作品を展示してもらえることがあります。
出版社主催のものであれば、次の作品をという流れになることもありますし、ギャラリーに作品が展示されるということは、多くの人の目に触れる機会を得られるということでもあります。そのようなギャラリーには編集者もたくさん訪れるもので、彼らは将来の絵本作家を探す目的で訪問しています。そのため、自力で個展を開くというのも絵本作家への道の一つとなるでしょう。また、フェイスブックやインスタグラムといったSNSで自分の作品をアップするのも同じことです。
絵本のコンテストには要注意!
残念ながら、一部の絵本コンテストは「営業ツール」として利用されています。絵本作家になりたい人たちを「釣り上げる」媒体として使っているので、それを知らずに口車に乗せられて何百万もの費用を支払って絵本を出版した人たち(ほぼ被害者)がたくさんいます。そのような悪質な出版社もありますので、これから絵本作家を目指している皆さんは巻き込まれないように注意してください。
絵本のワークショップに通ってみよう!
絵本作家になる道は、持ち込みやコンテストの他にもあります。例えば、絵本ワークショップに通うというのもとても良い方法です。独学で絵本作家になったという人も多いですし、必ずしも人から教えてもらうのは必須ではありません。
しかし、絵本を作るには画を書くだけではなくストーリーも展開させなければならず、どちらかが苦手という方は意外と多いのではないでしょうか。そのような方もワークショップで学ぶことで、プロフェッショナルな絵本作家への道を切り拓くことができます。また、1人で制作していて行き詰まりを感じているという方にも、ワークショップは大きな助けとなることでしょう。
絵本ワークショップは、ギャラリーや編集者、市町村などさまざまなところが主催しており、全国を見渡せばその数は非常にたくさんあります。いずれも絵本作家を養成することが目的なので、地元だけではなく少し足を伸ばしてたくさんのワークショップに通ってみるというのはおすすめです。
自分の腕を磨くこともできますし、同じ志を持っている作家の卵たちと知り合いになれば大いに刺激となることでしょう。そのようなワークショップで作り上げた作品が認められれば、出版社から刊行されるチャンスもゼロではありません。また、自費出版のサポートをしてくれるところもあり、自分の作品が店頭に並ぶという夢を叶えることにもなるでしょう。
絵本作家のスクール選びは慎重に
さらに、ワークショップというよりも「スクール」に近いものとなると、第一線で活躍するプロフェッショナルから手取り足取り指導が受けられる可能性もあります。技術を経験者から学ぶのは非常に有益なことですし、憧れの人から手ほどきが受けられるというのは、モチベーションアップという点でもとても大きなことです。
スクールは美大や専門学校によるものの他、身近なカルチャースクールなどでも開催されています。作家や編集者によるこじんまりとしたスクールもあるでしょう。このような場では絵本作成を系統だてて教えてくれるので、独学で学ぶよりもはるかに短い時間で多くのことを学ぶことができるはずです。
一般的には高額なスクールが多いので、どこにするかの選択肢はしっかり比較して、自分が納得できる場所を探してください。ちゃんとした知識と技術を学んでいくことは絵本作家としてデビューするためには必要なことです。
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