自費出版のために知っておきたいこと
絵本を自費出版する場合、前もって考えておきたいのは「自費出版することのメリットとデメリット」でしょう。
自作の絵本を自費出版することで得られる利益はいろいろとありますが、一方で自費出版することで不利益が生じ、問題が発生することも考えられます、まずはどのようなメリットとデメリットがあるか、知っておくことが重要です。
絵本を自費出版することのメリット
絵本に限った話ではありませんが、自費出版の最大のメリットは、著者が自分の描きたい内容を自由に構成して出版することが可能であることでしょう。出版社から本を出版する場合はその出版社からのチェックが入りますし、結果的に自分が作りたかった絵本をそのまま出版できないということもあり得ます。自費出版であれば、出版社の意向や利益に左右されることなく、自分の描きたい絵本を思ったままの形で出版することが可能です。
しかし、自分の思い通りの形で出版できるということは、それだけ自身の責任が大きくなることも意味します。編集者からのチェックが入らないということは、その内容の責任はすべて自分で負わなければなりません。絵本を自費出版したことで生じる問題を自分自身で引き受ける覚悟が必要であることも認識しておくべきでしょう。
自身の作品を出版するということ、それ自体にも、自分の存在を形あるものとして世の中に記録を残すという意味で、メリットがあると言えます。書籍を販売するためのISBNや書籍JANコードを取得した書籍は、国会図書館に収蔵され、永久保管されます。つまり、出版物を残すということは、自分という存在を確かに残す方法ともなるわけです。
また、自分の作品を出版したことは、自分への自信を高めるステータスにもなるでしょう。ひとつの作品を完成させて、それを出版物という形で世に出したということは、そのこと自体から大きな満足感を得られますし、また自分のステータスとして他人に示すことのできるアイコンにもできるでしょう。
絵本を自費出版することのデメリット
自費出版を行う場合、その内容の責任はすべて著者が負う必要があるということは前述しましたが、これはそのまま、自費出版のデメリットとなるポイントであるとも言えます。出版社を介して自費出版を行う場合でも、基本的に出版社側がその内容に干渉するようなことはありません。しかし、作品を世の中に公表する以上、第三者からその内容に対し、批判やクレームが発生する可能性を否定することはできません。特にSNSの普及によって、作品内容に対する批判が過剰に加熱する「炎上」が発生する危険性を無視することはできないでしょう。作品の内容や描写次第では、この危険性が大きくなるということは十分に留意されるべき問題です。
さらに、出版費用の問題も大きなデメリットと言えます。昔と比較すれば、自費出版にかかる費用は安くなってきている傾向にあります。特に、オンデマンド印刷(注文印刷)であれば出版費用は非常に安く、また在庫を抱えずに済むという利点もあります。しかし、自費出版の主流であるオフセット印刷による出版にかかる費用は、現代でも決して安いものであるとは言えないことも確かです。高額の出版費用を支払った結果、大量の在庫を抱える可能性があることもデメリットとなります。
作品を自費出版する目的にもよりますが、自費出版による収益をえることを目的として出版する場合、まず簡単に利益が出る程絵本を売ることが容易でないという現実があることも確かです。近年、副業として絵本作家を目指す人が増加していますが、結果として大きな収益を挙げることに成功している人は、そのごく一部に限られるというのが実情です。
せっかく自作の絵本を自費出版するのですから、目標を高く持つことも大切です。しかし、収益を得ることを第一とする副業としての絵本作家を目指すのであれば、相応の覚悟や努力が必要となることは認識しておくべきでしょう。それがなければ、多額の出版費用をつぎ込んでも、結果を得ることは困難です。また、相応の努力を払ったとしても、必ず結果が出ると言う保証がないことも事実です。
デメリットへの対処法
お伝えした通り、絵本の自費出版には相応のデメリットがあります。しかし、デメリットがあるからと言って、それだけで自作の絵本を自費出版することをあきらめてしまうというのももったいないことです。デメリットをどう捉え、それにどう対処していくかが重要です。
どんなデメリットでも考え方ひとつで変わる!
作品の内容に対するクレームや批判の可能性があることに対しては、世の中の常識や一般的な倫理観を心がけることで、ほぼ回避することが可能です。世間的な価値観や常識といったものをきちんと認識した上で、自身の作品をその常識のラインに沿って創作していけば、この問題には十分対処することができるでしょう。また、批判されることを覚悟の上で、それでも自分の表現したいものを描くという覚悟を持つのも対処法のひとつと言えるでしょう。
高額の出版費用がかかることに対しては、自身がそれだけの金額を支払っても自費出版する価値を見出せるかどうかがポイントとなります。それは、単に金銭的なリターンを得られるかどうかという問題に限りません。高額の出版費用を払ってもなお、自分の作品を世の中に出すことの意義があれば、金額は問題ではないとも言えます。また、上述したオンデマンド印刷による自費出版など、出版費用を安く抑える出版サービスも数多くありますので、自身の予算に応じて利用できるサービスをしっかり探すことも大切になります。
まずは目的意識を明確にすべき
自費出版で高額な利益を得ることは確かに難しいところですが、これは販売する目標数の設定によって変わってくる問題でもあります。ひとつの作品で大きな利益を得ようとするよりは、まずある程度の目標部数を決めて堅実な出版を行っていくほうが、失敗した時の負債が少なくて済みます。
まず、自作の絵本を自費出版する目的を明確化することが大切です。その上で、自作の絵本を自費出版することのメリットとデメリットを照らし合わせ、自分の目的にかなうものかどうかをしっかりと検討し、自費出版を行うことが重要であると言えるでしょう。
あなたの作品を世に出すことで、誰かの心が救われたり、誰かの支えになったりと金銭以外での「メリット」が大きいことは間違いありません。
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