出版社への持ち込みはハードルが高い?
絵本作家になりたいと思ったら、するべきことの一つが出版社に原稿を持ち込むことです。
しかし、これがなかなかの難関です。一昔前であれば、持ち込みをすれば編集者さんに会うことも簡単にでき、その場で目を通してもらうこともできていたものです。
しかし、今はそんなことはほとんどありません。というのも、絵本作家を志望している人があまりに増え、持ち込み原稿も山のようになってしまったので対応ができなくなっています。
ハードルが高いものだと認識すべき
出版社というのは常に忙しくしているもので、山のような原稿を一つひとつ見る時間などないのです。そんな経緯があって、今では持ち込みをしても門前払いされてしまうのがオチです。郵送を受け付けているところもそれほど多くはないといって良いでしょう。しかも郵送で送った場合、感想を聞くことすらほとんどできません。それから、原稿は返却してくれないのが普通なので、コピーを送ることを忘れないようにしましょう。送った後で感想を聞けるのは、非常に良いと思ってもらえた場合のみと思っておいた方が無難です。それもかなりの時間が経ってからようやく連絡があるというのが現状のようです。出版社がこれなら発刊できるかも、と判断した場合にのみ連絡がもらえます。このように、出版社への持ち込みというのは非常にハードルが高いのが現状といえるようです。
持ち込みにトライしてみよう!
とはいえ、持ち込みは「100%無駄」ということはありません。何が何でも自作の絵本を出版したい、という強い気持ちがあれば、絵本作家になるのも夢ではないかもしれないのです。実際に持ち込みをする出版社は、その会社が出版している本をチェックして、自分の本の傾向にあっているところからトライしていくのが基本です。
ホームページをじっくりと見ていると、その出版社の傾向がわかるようになるでしょう。自分の好きな絵本の出版社であれば尚理想的です。もしかしたらその本を担当した編集者が今もいるかもしれませんし、ひょっとしたら原稿の感想をもらえるということもあるかもしれないのです。
それから、編集者のツテを作っておくのも絵本作家になる近道といえるかもしれません。誰一人知らない出版社に持ち込みをするよりも、ツテを頼った方が良いに決まっています。編集者と知り合いになるにはいくつかの方法がりあります。
絵本であれば、書店主催の読み聞かせイベントというのがあるので、書店のホームページを定期的にチェックしておくと良いでしょう。読み聞かせは作家が自ら行うのが一般的で、そのようなイベントには編集者が顔を出すのは珍しいことではありません。それから、出版社は勉強会というのを開くことがあるので、そこに参加するのもオススメです。
こういったイベントは出版社のホームページなどで告知があります。勉強会の内容はさまざまなものがあり、本を出版したい人向けに開かれるもの以外のものに参加してみるのも編集者と知り合いになる一つの方法なのではないでしょうか。また、有名作家さんの出版記念パーティーとなればたくさんの編集者が参加するものですし、展示会のパーティーなども同様です。名刺交換などをして名前を知ってもらう良い機会なので、積極的に自分を売り込むようにしましょう。
その他にも、編集者のFacebookを通じて知り合いになるという方法もあります。メッセージを送って友達申請をしましょう。自分も良い記事をアップするようにし、編集者から「いいね」をもらえると距離は縮まっていくものです。しっかりした信頼関係を築くことができれば、作品を持ち込んで感想をもらえるようになるかもしれません。それから、長く画などを描いていると、自分の展示会を開くチャンスもあるでしょう。そのようなところに来た編集者さんから、絵本を作ってみないかと持ち掛けられる可能性もあるので、積極的に作品を外に出すのは非常に有益なことです。
どこまで作り上げた方が良いのか?
持ち込みにトライする時には、必ずしも全ページ仕上げる必要はありません。渾身の画を何枚か見せるだけで編集者さんは判断することができます。ほんのちょっと見ただけで、本全体の雰囲気は驚くほど伝わるものだからです。
そして、目的の絵本の画以外にも、今まで作成したものの中で良くできたものがあれば一緒に持参するようにしましょう。
つながりを保つことが重要なポイント
肝心の本が残念ながらイマイチという結果であっても、今までの作品で編集者さんの目に留まるものがあるかもしれません。自信のある画はファイルにまとめておき、自分の名前も忘れずに記入しておきます。そういったものの中から、別の本の挿絵を書いてみないかといった話をしてもらえることもあるでしょう。絵本という形にならなくとも、イラストを描けば腕は間違いなく磨かれていきますし、それが将来的に夢をかなえることにつながるかもしれないのです。
それから、名刺には自分が描いた画を入れるのを忘れないでおきたいものです。連絡先はもちろんですが、画に何らかの印象を持ってもらえればそこから思い出してもらいやすくもなるからです。持ち込みをしてもその場で見てもらえることはあまりないですし、返事も数か月後ということもよくある話です。時期をみて、こちらから確認のメールや電話を送ってみるのも良いでしょう。うっかり忘れられていても、そこから見てもらえるようになるかもしれません。
持ち込み以外に道はある?
持ち込みや郵送以外に道があるとすれば、出版企画書を作ることといえるかもしれません。持ち込みはまさに当たって砕けろというのを実践しているようなもので、とても効率は悪いです。そんなことにエネルギーを使うのなら、出版企画書を作って出版社に持ち掛ける方が良いともいえます。
出版企画書にはタイトルや作品の概要、作者のプロフィールをはじめとして、ターゲットとなる読者層、作品によって得られる効果などを明記しましょう。
また、類似する本との差別化や販促プランなども加えておきます。とはいえ、肝心なのはやはり本の中身です。終わりが簡単に想像できてしまうものなどは編集者の心を動かすことはできないでしょう。画がまるで文章の説明にしかなっていないようなものもNGです。
さいごに
編集担当者も人間です。人とのつながり、礼儀などには注意が必要です。
あなたは(今のところ)無名な絵本作家です。それに対応してもらっているわけですから、礼儀正しく、無礼のないように気を付けましょう。その一つのつながりを大切に思えない人は、どんな担当者ともつながることはできないでしょう。
なぜなら、出版のプロは「文章のプロ」ですから、あなたのメールだけでもその人柄を見極めることが出来てしまうのです。そこから本気度や人間力が判断されるので十分に注意が必要です。
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