絵本の自費出版が高額になる理由と安くする方法

心に残る絵本を作りたい!

映画や小説など、さまざまなジャンルの創作物に接しながら暮らしていると、多種多様な形で自分自身の中の創作意欲に影響を受けるものです。

名作からインスパイアを受けたり、子供の頃から持ち続けたアイデアを、自分のオリジナルの絵本という形で残してみたいと、誰もが一度は思ったことがあるのではないでしょうか。

絵本

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自費出版のイメージについて

自分の観賞用に、または思いや回想を身近で親しい人々とシェアしたいという気持ちから絵本を制作したい、そのような夢を持っている人は潜在的に多いかもしれません。実際に絵本を出版する人が後を絶たないことからも推察されます。プロフェッショナルの絵本作家として、商業的な出版を出版社に依頼するには、超えるべきハードルの数が多すぎて現実的ではありません。

そのため、実際に絵本を形にするとなると自費出版という選択肢に落ち着くことが多いでしょう。しかし、自費出版にともなうイメージは、自分の思い通りの作品に仕上げられる代わりに、費用が高額になるというデメリットではないでしょうか。

自費出版が高額になる理由

そもそもどうして自費出版が高額になるかと言えば、需要と供給という市場原理からすれば、売れないあろうという結論のものを作ろうとするからです。いわゆるペイすることを想定していないので、出版に関わる企業の費用を、その時点で回収する必要があるという理由からです。

つまり、出版社が2つの異なるビジネスモデルを持っているということです。絵本の制作費用を負担する商業出版は、出版社がその絵本が売れると予想しているために、絵本を売ってもうけるビジネスモデルを描いています。それに対して自費出版は、出版社が絵本を作る工程の作業代で利益を得るビジネスモデルです。

前者では、絵本が売れれば、その売上のほとんどは出版社のものです。何十万部、何百万部と売れれば売れるほどもうかります。一方、後者の自費出版は、絵本が売れれば、その売上はほぼ全額著者のものです。しかし、無名の個人の絵本が売れる可能性は限りなく低く、数冊から数十冊しか売れないものです。ビジネスとして自費出版を捉えている出版社は、絵本の企画コンテストを定期的に開催します。入選した作品は自社から出版し、順調に売れれば出版社の収益となります。

しかし、一方で落選した著者にも自費出版の誘いをかけます。落選はしたけれども光るものがあるとおだてたり、このまま埋もれさすのは惜しいなどと自尊心をくすぐりながら、例えば1,000部を数百万円で制作し、出版社のルートで書店にも並べますなどと気持ちをあおります。もともと、絵本を出したくてコンテストに応募している人ですから、絵本を出版する夢を諦めきれずに承諾する人も後を絶ちません。出版社からすれば、見込み客をマーケティングで集めて、売りやすい人にセールスをしているビジネスの王道を実践しているに過ぎません。

こだわりイコール高額化

そして、絵本を作りたい著者の理想が高ければ高いほど、絵本の仕上がりに対するこだわりも比例して大きくなることが一般的です。

例えば自費出版という形でも、誰もが知っている有名な出版社の協力の下で出版できれば、絵本の権威性が高まるような気持ちになるかもしれません。しかし、そこに需要がある限り、その有名出版社は他社よりも高額な費用を請求することになるでしょう。

絵本コスト

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在庫の問題も視野に入れておきましょう。

さらには、絵本の見栄えについては、最もこだわりが大きく現れる部分ですので、さまざまな費用を押し上げる要因が潜んでいます。長期間に渡って保管するためにソフトカバーよりも割高なハードカバーでの装丁を選択したり、紙の質感にこだわって光沢のある厚みのある素材を選んだり、表紙のインパクトにこだわる余りに、何色も使って複雑なデザインにしたり、あらゆる希望を盛り込もうと思えば、それらは全て見積額に反映されて非常に高額になるでしょう。

また、どれだけの部数を印刷するのかについても費用に直接的に反映されます。印刷する部数が少なければ一冊当たりの単価が割高になるでしょうし、逆に数量を多く印刷することで一冊当たりの単価を下げられたとしても、売れるかどうかも分からない在庫を大量に抱えるリスクを負うことになるでしょう。

高額になる理由を削っていこう!

そこで、絵本は出版したいけれども、できるだけ費用は安く抑えたいという希望を持っている著者にとっては、こうしたコストアップの要因を削っていけばよいと言えるでしょう。そのためには、まずは自分自身のゴールを決めましょう。絵本を作りたいという欲求があることは明確です。

ただ、その絵本を誰に見せたいのかという対象を設定する必要があるでしょう。極端に言えば、作りたい絵本を一冊作ることがゴールであれば、自分の観賞用と家族や友人に配る数冊のみでいいはずです。その念願だった絵本を作ったという結果こそがゴールであり、きっと満足できることでしょうから、装丁や色味などの見栄えにこだわり、印刷費用を最小化することで全体の費用のバランスを調整できるでしょう。

プロへの道をどう切り開くのか?

もしプロフェッショナルの絵本作家として、今後も継続して作品を出版・発表したいという希望があるのなら、物事を長期的かつ計画的に進めなければなりません。限られた予算を考慮しつつ、作品をデータ化することで、出版費用を低額に抑えられる電子書籍のマーケットに参入するなどの戦略が必要になります。そのケースにおいては、電子書籍に興味がある読者の行動や嗜好を分析し、確実に潜在顧客の目に触れるような広告にこそ費用をかける必要も生じてきます。

予算のバランスを熟考し、紙の絵本とデジタルデータの見え方の違いなども研究し、最小の費用で最大の効果を得られるように、ビジネスとしての視点を強く持つ必要があるでしょう。やりたい放題に要望の全てを詰め込んで、自分にとっての至高の一冊を作るアプローチとは全く異なります。自分が作りたい絵本を作るのではなく、売れる絵本を作る必要性が生じます。

プロフェッショナルの出版社が全社を挙げて取り組んでいることを、無名の個人が同じアプローチで試しても玉砕するしかありませんが、やり方次第では、ネットを活用してムーブメントを作ることが可能な時代にもなっています。どのように費用を使うかによって、自費出版の絵本であってもヒットさせることは可能かもしれません。

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