絵本は思い出として残るもの
子供の頃から慣れ親しみ、いつまでも素晴らしい記憶とともに身近にある物の一つが絵本ではないでしょうか。
幼少期には、寝る前のルーチンとして親に読み聞かせをしてもらい、一人で文字が読めるようになると、遊び相手のいない一人時間の友達になってくれたものです。誰もが必ず一冊や二冊はお気に入りの絵本があったことでしょう。
家族をつなぐ絵本のちから
自分自身の成長にともない、絵本は不要な物になるどころか、その役割は形を変えながら重要度を増していきます。思春期の心が混乱しがちな難しい時期には優しい温もりとともに心の支えとなり、結婚して子供ができれば、今度は読み聞かせをする側となり、子供を安心して眠りにつかせるための強い味方になってくれます。それだけではありません。その子供たちも成長して独立すれば、今度は誕生した孫のためのプレゼントとしても喜ばれます。
子供たちは周囲から愛されている実感を抱くことで、自身のアイデンティティを確立していきます。両親や祖父母から絵本を与えられることで、自分はこんなにもスペシャルな存在なんだと誇らしく思うことでしょう。このように絵本というものは、一生を通じて人々の心に大きな影響を与える力があります。
経済的に余裕のある高齢者が自分の絵本を制作したい場合
そんな誰かの心の在り方を助けたり、幸せな気持ちにさせられる絵本というものを、おそらく多くの人々が自分でも作ってみたいと思った事があるでしょう。そして、実際にその思いがアイデアとして具体性を帯びた時、その衝動を止めることは難しいかもしれません。
特に、多忙に過ごしてきた人生に一つの区切りをつけ、これから穏やかな余生を楽しむつもりの高齢者には、そのための時間も経済的な余裕も両方が備わっていることでしょう。そのような高齢者に絵本のアイデアを形にしたいという希望が湧きあがった場合、実際に出版するまでの障害はそのためのノウハウがないことだけです。こうしたケースで最も頼りになるのは、絵本出版のプロフェッショナルである出版社に他なりません。
絵本を印刷するまでの工程において、難しい専門用語を覚えたり、絵本として印刷してもらうために印刷会社に渡すデータを作成することなど、実際に形にするために必要な知識や経験、スキルを一から勉強しようと思ったら、それは特にデジタルに強くない高齢者にとっては至難の業でしょう。そうした面倒な作業を完璧に代行してくれる存在が出版社です。イラストは絵本の最も個性が生じる部分ですので、そこだけは自分自身の作品を使うべきでしょうが、それ以外の工程は全て出版社に依頼することが可能です。
もちろん、具体的な作業を代わりに依頼することが可能な分、そのデメリットは高額な費用が生じるということです。物語の作成や校正までをも含めれば100万円前後の出費になる可能性もあるでしょう。夢の実現のためなら、高額な費用をかけることもやぶさかではない人にとっては、最も実現の可能性が高くなる方法です。
スキルの足りない部分だけを外注したい場合
全ての高齢者が経済的にそこまで余裕があるとは限りません。老後の資金も考えつつ、余暇に絵本製作という夢を実現させたいと、人生とのバランスをより繊細に考慮しながら願う人も多いはずです。
そうした高齢者は、絵本を作成する実際の工程を分解して、自分でできるタスクと外注せざるを得ないタスクを明確にすることで、最小限の費用で実現が可能でしょう。
出版コストを算出してみよう!
例えば、ストーリーとしての文章は既に出来上がっているけど、どうしても絵心の無いイラストしか描けないと悩んでいれば、イラストだけを外注することも可能です。もし自分の好みに合致した特定の絵本作家がいるのであれば、直接もしくは絵本の出版社などを通して間接的に依頼することは可能です。
そうしたプロの絵本作家であれば、自分自身の制作経験も豊富にあるはずなので、ストーリーのイメージに沿ったイラストを提供してくれるかもしれません。その豊富な経験から、イラスト以外の総合的なアドバイスをしてもらえる可能性もあるでしょう。その絵本作家がどれほど高名であるか、人気があるか、既に自身の作品制作はしていないか、それともまだまだ現役なのかなど、さまざまな要素が絡んできますので料金表のようなものはありませんが、イラストのデータ毎に数万円から十数万円の費用が掛かることは致し方ないでしょう。
より安価に外注したい場合には、フリーランスのイラストレーターにお願いすることも可能です。フリーランスが登録するマッチングサイトを利用する方法が最も効率がいいと思われますが、実際に利用したことがある、もしくは今も利用している経験者を周囲に探して、さまざまな情報共有をお願いしてみましょう。
コロナ禍で副業の機会が広まったこともあり、フリーランスとして仕事をしている層は格段に厚みを増しているため、さまざまな選択肢の中から、自分の好みのイラスレーターを探すことが簡単に行えます。複数のイラストレーターにコンペ形式で受託を競ってもらえる仕組みからも、絵本作家に依頼するよりも安価に依頼することが可能です。もしストーリーもイラストも自分で作成している高齢者は、それを形にするためのデータ化だけを外注することすら可能でしょう。
自分で全ての制作過程を行う場合
これからは余暇が増えるという高齢者のメリットを生かし、絵本制作に関わるあらゆる工程を自分でゆっくり時間をかけてでも勉強して習得し、印刷会社に入稿するだけの形にまで仕上げようと試行錯誤するのも楽しいかもしれません。費用は最も安価になるでしょうし、出版までの時間はかかるかもしれませんが、その工程の全てを楽しめるのであれば、最高の余暇の使い方になるかもしれません。
絵本を自主制作するに当たって、覚えるべきこともやるべき作業も膨大な量が存在します。しかし、そのどれをも楽しく学べるのであれば、そこに費やす時間も労力も決して無駄ではないでしょう。また、一度全工程を経験して知識もスキルも身に付ければ、絵本を作成したいという同じ夢を持つ他の人に教えるという、新たな仕事を開拓できる可能性すらあるかもしれません。
絵本出版のあれこれ
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