絵本の自費出版におすすめの方法と出版社パターンまとめ

これから絵本の自費出版を検討中の方へおすすめの方法をまとめていきたいと思います。また出版社のパターンもさまざまなので、自分に合った自費出版を探してみてください。高額なコストをかけるだけではなく、出版費用を抑えた方法もお伝えしていきます。

また絵本の出版が高額になる理由もお伝えしますので、自分が何にお金を支払う必要があるのかが見えてくるでしょう。皆さんが絵本の自費出版で失敗しないように、正しい知識を持って選択できるようになって欲しいと思います。

今回おすすめする方法以外にも細かな点で分けていけば可能性は多くあります。あなたの作品を世に出すために何を選ぶべきか、さらには絵本を出版した後に見える世界もお伝えしたいと思います。絵本というエンターテインメント作品は著者自身にも楽しんで作ってもらいたいですね。

絵本の自費出版でおすすめの方法

大まかに言えば、書籍には「リアルな紙の本」と「電子書籍」があります。近年では音声音源の書籍もありますが、絵が重要である『絵本』というジャンルでは成立しません。つまり、絵本の自費出版を考える場合には、先にあげた「紙の書籍」か「電子書籍」のどちらかです。

・電子書籍という選択肢について
正直に言いますと、5~10年後にはどのようになっているか分かりませんが、現時点では電子書籍は絵本には不向きな点が多いです。理由のひとつが、電子書籍はタブレットで見ることになるため、タブレットの他の誘惑に勝てない可能性が高いからです。

タブレットには子どもたちの好奇心をあおるゲームアプリなどがあり、絵本を読むくらいならゲームをしたいと言い出す子が多いようです。親御さんからすれば、子どもが遊んで静かにしてくれるなら「どちらでも良い」かもしれません。でも絵本を作った側からすれば残念な結果です。

・リアルな紙の絵本のメリット
面白いことに人間は『直接ふれる』という行為によって、そのもの(絵本自体)に愛着が生まれてくるものです。これは先ほどのタブレットでは難しい現象とも言えます。手でふれて、ページをめくっていくという行動の記憶がより深い絆へとつながっていくのです。

実際に「本好き」にも2種類が存在します。情報を得るための読書好きと、リアルな共感や共有を求める本好きです。前者であれば、文字(情報)さえあれば読書の目的は達するため電子書籍で十分です。しかし、後者の方はページをめくる楽しさを感じています。

<自費出版についての知識>

皆さんは自費出版について知らないことが多いと思います。そのような場合、業者の「言いなりの金額」で何となくの絵本を作っていくことになりかねません。しっかり知識を集めることで正しい選択ができるようになるのでオススメです。

絵本の出版において、何にお金が使われているのかなどの情報を持ちましょう。もちろん、絵本つくりの基本的な知識は必要ですので、やはり個人でつくるよりも出版社(担当者)などを通じてプロのサポートを受けた方が良いとは思います。

<絵本を出版する目的について>

絵本を自費出版する前に考えてもらいたいことがあります。それは「あなたの目的」です。絵本を出版することで、あなたはどうなりたいのか、もしくは誰にどうなって欲しいのか。今は漠然としたものでも構いませんので、それを『ひとつの目的』としても良いです。

さらに「ただ作品を残したい」「一般の読者に読んでもらいたい」「絵本作家として活動していきたい」など目的を明確にしておけば、自費出版の選択肢を絞ることができます。現状の作品のクオリティを高める必要があるかどうかもポイントになるわけです。

<おすすめの自費出版の方法>

結論から言えば【リアルな紙の絵本】が良いということになります。あとは出版目的によって出版社のパターンを選んでいきましょう。仮に製本するだけなら印刷所がお得ですし、無駄な在庫の心配をしたくないならオンデマンド出版が効果的です。

もし自費出版でも「書店に並べたい」というのであればそれなりのお金が必要になります。絵本を出版する場合に最初に目にする金額の多くは、この「ハードカバーの絵本」を「書店に並べる」場合です。大まかに言えば【150万~200万円】くらいが相場になります。それらの費用の詳細については、後ほど説明していきます。

絵本の出版社のパターン一覧

絵本の自費出版にあたり、どのサービスを利用するかは悩みどころだと思います。あなたの目的や予算に合った出版社(または印刷会社)を選んでいきましょう。せっかくの出版体験ですから、満足度の高い出版ができる業者を選ぶための知識を持ってください。

<絵本の出版を行う出版社>

最初の選択肢として出てくるのが「出版社経由」の出版です。おそらく、ほとんどの方がイメージしている絵本の出版方法だと思います。このパターンの多くは「ハードカバー」の絵本を「書店に並べる」というものになります。

いわゆる「絵本の自費出版は高い」と感じる、びっくりするくらいの費用が必要です。先ほども書きましたが【150万~200万円】が相場になります。正直、売れずに在庫として処分されることが多いです。もし予算に余裕があるなら割り切ってしまえば良いと思います。

<絵本の製本を扱う印刷所>

ハードカバーの絵本(でなくても可能)を『形として残したい』のであれば製本で十分だと思います。特に一般ユーザーが購入するわけではないため、わざわざ作品のクオリティを高める必要性もありません。イメージ的には趣味の延長線上という感じになります。

もし手売りなどで第三者が『購入』する場合にはクオリティの向上は必須です。正直、今のままでは販売する絵本としては成立していないと思います。出版社のプロの視点までは行かなくても、家族や知人などの意見を聞いて取り入れる努力は必要になるでしょう。

<ネットに強いオンデマンド出版>

オンデマンド出版とは簡単に言えば【受注生産方式の出版】です。興味を持った読者がいつでもどこからでも購入できるメリットがあります。もし出版社経由の出版であれば、著者の作業負担もありませんので便利です。もちろん、商業出版なのでクオリティ向上は必須です。

また在庫の概念がありませんので『在庫切れ』もありません。つまり、半永久的に販売できるという著者にとっても有益なシステムと言えるでしょう。さらに環境にも優しいのでSDGsの観点からも、将来的に主流となる出版の形態なのでおすすめです。

<気軽に使える電子書籍>

絵本の出版に向いていないと言いましたが、単純に「費用を抑えたい」という視点だけで言えば選択肢としても考えられます。価格面(概算)で言えば、大体【3~5万円】くらいで電子書籍の絵本を作れます。すでにお伝えした通り、利用者(読者)も手軽に使える反面、気軽に他の者へと心移りしやすいです。

もし電子書籍の絵本だけで10万円を超えるようなら選択肢からは外しましょう。実際の費用対効果(コスパ)を考えると、それくらいの費用なら「リアルな紙」の絵本も視野に入ってくるからです。例えば、ただ作品を残したいという目的であれば十分かもしれません。

自費出版に必要な費用について

絵本作家が自費出版したいと思った場合、もっとも頭を悩ませるのが「費用」だと思います。その自費出版の費用のなかでも『高額になってしまう理由』を知っておくと良いでしょう。自分の目的に合う方法を選ぶために、何を優先すべきかが見えてくるでしょう。

何より絵本の自費出版において、その費用が高額になるということは『読者(購入者)』の負担が増えることになります。絵本のコストはそのまま販売価格に影響するわけですから、高額な絵本をつくることを避ける工夫が必要に思います。

・ハードカバー
絵本は一般的に「ハードカバー」のものが多いですが、これは子ども向けの書籍で丈夫さを担保するためと見開きの状態で開いて読むことができるという利点からです。しかし、それは乳幼児や自分では本を開けないお子さんをターゲットにした絵本以外には不要なものです。

例えば、モノを大切に扱うことができる子どもであれば並製本(ハードカバーではない)でも十分に絵本の目的を達することができます。ハードカバーにするだけで通常の書籍よりも1.5~2倍のコストが必要になることを覚えておいてください。

あなたの絵本のターゲットが上記のようなハードカバーである必要性がなければ、通常の並製本にした方が良いのです。小さなお子さんでも漫画(並製本)を一人で読むことができます。それと同じ感覚で絵本を読むことも可能なのです。絵本=ハードカバーという既成概念を捨てましょう。

・場所買い
絵本作家として「書店に自分の絵本が並ぶ」ことはひとつの夢かなと思います。しかし、自費出版の絵本の場合、その本を置くスペースは出版社が買い取ることで成立しています。つまり、場所の代金を支払って置いてもらっているだけです。

さらに場所買いには期間が設定されていますが、そのほとんどが短期間(数週間から長くても3か月程度)のため、実際に無名の新人絵本作家の作品が売れることは難しいです。ほとんどが売れ残るわけですが、それは著者に連絡なく勝手に処分されることさえあります。

これは調べようもないため難しい問題ですが、実際に店舗で売れたという報告数が本当の数値なのかは微妙なところです。絵本作家さんには「すべて売れました」と報告するが、実際には破棄しているパターンも少なからず存在するかもしれません。

・営業コスト
特に絵本の自費出版を扱っている大手出版社の場合、営業面に力を入れています。主な営業は2種類あり、絵本作家に甘い話を持ち掛ける営業(勧誘)と書店の場所買いの営業です。前者は出版社の利益に直結するものですから、当然に人員を割いていますし、人材コストも莫大なものです。

他にも宣伝に関するコストも膨大です。おそらく絵本作家を目指している方であれば、ネットで「絵本 出版」などと調べたことがあるはずです。その検索結果に表示される『広告枠』は1クリックあたり200~500円くらいの高額なコストになっています。

当然ですが、これらすべての営業コストは自費出版の費用に含まれているわけです。もし、あなたが絵本作家として「ハードカバーの絵本を書店に並べたい(必須)」のであれば、価格は高額ですが大手出版社を選んだ方が良いでしょう。書店とのコネクションが強いのでオススメします。

絵本の自費出版をおすすめする理由

絵本作家として活動するために、まずは自費出版でのデビューを検討するのは良いことだと思います。なぜなら、コンテスト応募や持ち込みでは『いつまでたっても叶わない』でしょう。それは日本の絵本市場が小さいため、売り上げを確保できる作品は生まれにくいからです。

何より自費出版であっても絵本作家としての恩恵を十分に得られます。以下のようなメリットを感じることができれば今後の活動方針も考えやすくなると思います。そして、ご自身の絵本が読者に読まれる喜びを感じることができるでしょう。

・絵本作家として認知される
印刷会社での製本のみのパターンは除きますが、商業出版であれば、絵本作家デビューを実現したことになります。実際に自費出版とそうでない出版の差は『読者』には関係ありません。あなたの絵本が商業ルートで販売され、一般ユーザーが購入できる状態であることがすべてです。

ただし、これが『製本』だけでは趣味の延長戦と考えらえることが多いので大きな差が生まれます。しっかり商業出版できる選択肢(出版社や業者)を選ぶことをおすすめします。ひとつの実績を得ることは次なる可能性を広げてくれるのです。

・読者の意見をもらえる
自分がつくった絵本に対しての意見をもらえると嬉しいものです。もちろん、見ず知らずの人たちですから、プラスの意見もあればマイナスの意見もあると思います。マイナスの意見も自分を卑下することなく受け止めてください。次の作品に活かしていけばよいだけです。

また読者の意見は下記の「出版社」の話にもつながっていきます。今後はすでに出版した作品を手に新作を出版社へ持ち込みなどをしていくことが可能となります。前作の読者評価を携えて、どう活かしているかなどもアピールポイントになのでおすすめです。

・出版社にも一目置かれる
まず単純な話で「実績のない人」と「実績のある人」がいた場合、どちらの話を聞きたいと思いますか。間違いなく商業出版した経験のある絵本作家です。その経験値は説得力を生み、新規の持ち込みの際にも耳を傾けてくれる可能性が高くなります。

先ほども書いていますが、商業出版の場合には『クオリティを高める』という努力が必要になります。これはこのような持ち込み時にも影響するものです。ただ出版したという事実だけではなく、しっかりとした作品としての品質が求められます。

【まとめ】絵本を自費出版するおすすめの方法について

結果的におすすめするのは『オンデマンド出版』になりますが、どうしても「書店に並べたい」という方のみ大手出版社の高額な自費出版を活用してください。あなたの絵本を出版する目的を明確にすることで、どの手段が自分に合っているかも見えてくるでしょう。

そして、忘れて欲しくないことは「コストが上がれば販売価格も上がる」ということです。自分(著者)がお金を支払いさえすればよいわけではなく、読者の負担が増えることも意識しておきましょう。これは作家として活動していくうえで欠かせない視点です。

最後に、クリエイターとは「他人」が認めることで存在するものです。絵本を自費出版して商業ルートで販売するのであれば、他人がどのように関わってくるのかを想像していくことで、自分が選ぶべき道が見えてくると思います。皆さんの作品が無事に世に出ることをお祈りします。